恐怖の基腐病
「サツマイモ基腐病(さつまいももとぐされびょう)」(以下、基腐病と呼びます)。
この単語を聞いて身の毛のよだつサツマイモ農家さんは多いでしょう。
今回はつらさげ芋を愛する皆様にも、サツマイモにまつわるこの恐怖の基腐病についてQ &A形式でご紹介していきたいと思います。
基腐病ってナンだ?
「基腐病」と言うのは糸状菌(カビの一種)がサツマイモに感染する病気のことを言います。
いま人間界では新型コロナウイルスによる感染症が世界中の人々を怖がらせていますが、サツマイモ界ではこの基腐病と言う感染症が農家の方々を怖がらせています。
基腐病に感染したサツマイモはどうなるの?
基腐病に感染したサツマイモは、茎の下側の根本部分が黒色~暗褐色に変色します。
また、茎葉は黄色や紫色に変色してしおれてきます。
症状が進むと、主に茎に近い方から腐敗が進んでいき枯死してしまいます。
感染症ということは他のお芋に移ったりするの?
そうです。
基腐病の感染ルートは多岐に渡ります。
「ニワトリが先か卵が先か」というような話になりますが、主に下記の伝染ルートになります。
①サツマイモの種イモが感染
②感染した種イモが苗床で発病
③感染した苗を畑に植えて発病
④発病株の増加
⑤台風等の暴風雨による停滞水から病気の拡大
⑥お芋が腐敗
⑦感染した種イモができる(①に戻る)
⑦’ 感染したお芋の残渣(根や茎や葉っぱ)が畑に残る
→⑧感染した残渣が分解されずに畑に残ると、次作の伝染源となる。
参考引用文献:「サツマイモ基腐病の発生生態と防除対策」農研機構生研支援センター
鹿児島県では、2018年に基腐病が確認されてから、苗床で基腐病が発生し、発病した畑が年々増加しており大きな問題となっています。
九州・沖縄でも大きな問題とされていましたが、昨年には千葉県でも本病が確認され、もはや全国的な問題とされています。
まとめ
今回はサツマイモ基腐病について初級編としてご紹介しましたが、本当に深刻な問題です。
鹿児島県でもサツマイモの生産を辞める農家さんも出てきており、全国的にもこのような農家さんは増えてくるのではないかと思われます。
そうなると、サツマイモの生産量低下と価格高騰が危惧されます。
サツマイモが好きな皆さまにとっても深刻な問題となりますね。
怖い話をしてきましたが、基腐病に対する完全な治療薬のような薬は現時点では無いのですが、対症療法的な対策はありますので、また機会があればご紹介したいと思います。